離婚で会社を失う経営者は、株を取られて失うのではない。払えない金額に自分で合意して失う。
条文・最高裁判例・司法統計・元大阪高裁判事の実務資料をもとに、中小企業のオーナー経営者が直面する構造を整理した記録です。個別事案への法的助言ではありません。
要約結論 逃げ道は3つある。それでも詰む経路が1つ残る
状況 — 中小企業のオーナーにとって、自社株は資産の大半を占めながら、売れない資産でもある。年利益2,000万円の会社なら、時価純資産に営業権を3〜5年分上乗せするM&Aの慣行で、1億円台の値がつく。一方で本人の役員報酬は月20万円、個人の預金は1,000万円。法人実効税率がおよそ30%、個人の税・社会保険負担が約37%であることを踏まえれば、この設計は節税として合理的である。
複雑化 — ここに離婚が入ると、資産の帳簿と支払能力が分離する。株は財産分与の対象になり得る。評価額は会社の中に積み上がっている。しかし分与は現金で払うのが原則で、その現金は個人の手元にない。しかも2026年4月1日に改正民法が施行され、請求できる期間が2年から5年に伸び、家庭裁判所は財産情報の開示を命じられるようになった。
問いはこうだ。評価額1.5億円の会社を持つ経営者が離婚したとき、7,500万円の請求書が届いて全員破産するのか。それを避けるために婚前契約は必須なのか。
答え — 全員が破産する世界にはならない。理由は3つある。第一に、家庭裁判所が使う評価は時価純資産法が中心であり、M&A市場の値付けをそのまま持ち込む建て付けになっていない。第二に、分与の額と方法は「一切の事情」を考慮して決まるため、支払能力は分割払いという形で織り込まれる。第三に、清算的財産分与の債務は破産法253条1項が列挙する非免責債権に入っておらず、最悪の場合は免責され得る。
ただし、この安心には裏がある。危険なのは裁判所ではなく、裁判所の外側だ。日本の離婚の87.5%は協議離婚で、家庭裁判所を一度も通らない。相場も評価方式も知らないまま署名した合意書は、後から「高すぎた」という理由では原則覆らない。そして経営者本人の節税設計 — 役員報酬を抑えて会社に利益を残す — が、分与対象を膨らませながら支払原資を消すという、最も詰みやすい形を作っている。
根拠になる3つの数字を先に置く。
結論を3行で
- 株は入る。ただし入るのは「婚姻中に協力して作った分」だけ。婚姻前から持っていた株、相続・贈与で得た株は特有財産で、価値が10倍になっても原則として対象外である。婚前契約を結んでいなくても、婚姻前に設立した事実は登記事項証明書で証明できる。逆に婚姻後に設立した会社は、一人で作っても原則2分の1である。「配偶者が手伝ったかどうか」は割合を動かさない。
- 評価は膨らみにくいが、内部留保が厚い会社は例外。家裁実務の中心は時価純資産法で、将来利益を資本還元する評価をそのまま採る建て付けではない。ところが役員報酬を抑えて10年利益を貯めた会社は、純資産方式でも高く出る。過大評価を心配する経営者の直感は、ここで現実になる。
- 婚前契約は必須ではない。だが婚姻後に会社を作る人には費用対効果が最も高い一手になる。効くのは請求権を消す力ではなく、特有財産の範囲を先に確定させる力である。
固い(条文・公的統計・実務資料で裏が取れた): 特有財産の線引き、2分の1ルールの明文化と修正のハードル、破産法253条1項の非免責債権の列挙、現物分与に伴う譲渡所得課税、司法統計の金額分布、夫婦財産契約の登記件数。
柔らかい(解釈が割れる、または裏が取り切れなかった): ①婚前契約で清算的財産分与をどこまで排除できるか ②財産分与の場面で非流動性ディスカウントを主張できるか。この2点は公表裁判例を見つけられなかったため、確定した結論として扱っていない。
01対象性 株が分与に入る条件と、登記簿という証拠
まず切り分けが要る。会社名義の預金・不動産・設備は、法人の財産であって夫婦の財産ではない。元大阪高裁判事の松本哲泓弁護士による実務研修資料は、この点を明確に述べている。
法人名義の個々の財産は、法人の財産であり、夫婦の財産ではないから、財産分与の対象とはならない(法人の株式や持分権は対象となり得る。)。ただし、法人の実態が個人経営の域を出ず、実質上夫婦の一方又は双方の資産と同視できる場合、法人格否認の法理の要件を充たす場合などは、法人名義の個々の財産を対象とすることもある。
— 日弁連法務研究財団 研修資料「清算的財産分与の意味・対象財産と分与基準」(2021年3月・松本哲泓弁護士/元大阪高等裁判所第9民事部部総括判事)
つまり「会社に1億円ある」ことは、直接には分与の話にならない。分与の対象は株式で、その株式の価値に会社の1億円が反映される、という二段構えになる。もっとも実態が個人経営の域を出ない会社では、法人格を否認して会社財産そのものを対象とする余地も残されている。
特有財産の3類型
婚姻中に取得した財産でも、次の3つは特有財産として分与の対象から外れる。
| 類型 | 内容 | 経営者にとっての意味 |
|---|---|---|
| ① 婚姻前から有していた財産 | 結婚より前に取得した財産 | 婚姻前に設立・出資した会社の株は原則ここ。最も強い防御 |
| ② 親族からの贈与・相続 | 婚姻後でも、親から承継した株は原則対象外 | 事業承継組はここ。ただし納税原資を共有財産から出すと、その部分は対象になり得る |
| ③ 夫婦の合意による専用財産 | 当事者間の合意で特有財産と定めたもの | 婚前契約が法的に接続するのはここ |
出典: 前掲 日弁連法務研究財団 研修資料。分類と表現は同資料の記載に基づく。
同資料は続けてこう書いている。「特有財産か否か争いがある場合は、特有財産と主張する者が、これを立証することになり、立証できない場合は、共有財産として分与対象財産と扱うことになる」。
婚前に手続きをしていなくても、株式は証明しやすい
民法762条2項は「夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する」と定める。立証できなければ共有として扱われるのは、この条文の帰結である。
ここから「婚前契約を結んでいないと、婚姻前から持っていた株も守れないのではないか」という心配が出てくる。株式に関しては、これは当たらない。証明のしやすさは、財産の種類で大きく違う。
| 財産の種類 | 立証の難度 | 理由 |
|---|---|---|
| 婚姻前に設立した自社株 | 良い(登記簿に残る) | 会社の成立年月日が登記事項証明書に載る。法務局で誰でも取れて、時間が経っても消えない |
| 婚姻前からの定期預金 | 中(残高で示せる) | 残高が経時的に増える口座は、婚姻時点の残高を示しやすい |
| 婚姻前からの普通預金 | 悪い(混ざる) | 給与の受取と生活費の支払で頻繁に動き、婚姻後の収入と混ざる。口座の全額が共有として扱われる可能性が高い |
元裁判官の解説も、普通預金についてはこう書く。
普通預金、通常貯金の場合は、いつでも自由に出し入れをすることができ、多くは婚姻生活と密接な関係のある給与の受取や光熱費等各種生活費の支払等に用いられ、頻繁に入出金がされています。そのため、婚姻後に得た収入等と渾然一体となり、基準時には特有財産性と認め難くなります。すなわち、その口座にある預金全額が共有財産として扱われる可能性が非常に高くなります。
— 丸の内ソレイユ法律事務所「特有財産とは?財産分与の対象外になる財産と立証方法を元裁判官が解説」
株式はここが違う。株式は口座の残高と違って混ざらない。婚姻前に発行された株式は、婚姻後も同じ株式のまま存在し続ける。設立年月日は登記簿に残り、保有の事実は株主名簿と定款で裏づけられる。婚前契約という手続きを踏んでいなくても、「婚姻前から持っていた」という事実自体は、通常は証明できる。
では何が争点になるのか。株式そのものの帰属ではなく、次の3つに移る。
- 婚姻後の増資部分 — 増資の原資が夫婦の共有財産から出ていれば、その増資部分は当然に実質的共有財産になる。特有財産からの出資であれば、対象とするのは困難とされる
- 婚姻後の増価分 — 原則として対象外。ただし配偶者の寄与によって「減少せずに維持された」と評価できる部分は、対象になり得る
- 配偶者の寄与 — 対象財産にできない部分は、寄与割合または「一切の事情」として考慮される
婚姻前に設立した会社が1社あるだけなら、契約がなくても株式そのものは守れる公算が高い。婚前契約が効くのは、婚姻後に取得・増資した分まで含めて、特有財産の範囲を先に確定させるところである。
逆に、婚姻後に設立した会社では、同じ登記簿が不利に働く。設立年月日が婚姻期間中であることは、誰でも一発で確認できる。
婚姻前に持っていた株が値上がりした場合
ここが経営者にとっての本丸になる。婚姻時に評価100万円だった株が、20年後に1.5億円になった。この1億4,900万円の増加分は、夫婦の協力で作られたのだから分与の対象ではないか — という主張である。
同資料は、この問いを正面から扱っている。相続した非上場の小規模会社を夫婦で協力して大きくしてきた事例を挙げ、こう答える。
妻の寄与の態様にもよるが、原則的には、対象とすることはできない。ただし、会社が個人会社である場合には、その寄与によって、特有財産が失われずに、あるいは減少せずに維持されてきたと評価できる場合がある。この場合には、減少せずに維持されてきたと評価できる部分を、財産分与の対象財産となし得る。寄与によって、価値を増加させた場合、増加分を財産分与の対象財産となし得るとの考え方もありえようが、株式の価値が増加しただけでは、難しいと思われる。
増価分は原則として対象外。ただし増資をした場合、その原資が夫婦の共有財産から出ていれば、増資部分は当然に実質的共有財産になる。そして増加分を対象財産にできない場合でも、寄与割合や「一切の事情」として考慮される余地は残る。つまり金額としてはゼロにならないが、株そのものが丸ごと持っていかれる話ではない。
02評価 1.5億という数字の出どころ
年利益2,000万円の非上場会社に1.5億円という評価がつくとき、その数字はどこから来ているのか。ここを分けずに議論すると、話が噛み合わない。
| 場面 | 主に使われる評価 | 年利益2,000万円の会社での出方 |
|---|---|---|
| M&A・第三者への売却 | DCF法、類似会社比較法、時価純資産+営業権 | 営業権を年利益の3〜5年分と見る慣行があり、純資産に上乗せされる。1.5億という数字はここから出ることが多い |
| 相続税・贈与税 | 財産評価基本通達 | 会社規模区分で方式が決まる。中小の同族会社では純資産価額の比重が大きい |
| 離婚の財産分与 | 時価純資産法が中心 | 貸借対照表の純資産を土台に評価される。将来利益を丸ごと資本還元する建て付けではない |
裁判所は、思ったほど高く評価していない
実際の家事審判では、次のような処理が見られる。
- 平成27年7月 家裁審判 — 直近の決算報告書の純資産額を発行済株式総数で割る方法を採用。純資産がマイナスだったため、株式の評価を0円とした
- 東京家裁 平成28年3月30日 審判 — 夫婦が同数の非上場株式を保有。資料の提出がなく適正な評価が困難として、株式は各自の名義のまま維持するとした
2件目は重要である。非上場株式は、資料が出てこなければ評価しようがない。裁判所は鑑定を命じることもできるが、実務家の解説は「ほぼ実施することはありません」と書く。結果として「評価不能」となり、株はそのまま動かない、という着地があり得る。ただしこの構図は、2026年4月に施行された情報開示命令によって、今後は変わり得る。
換金性の低さは、まだ評価に反映されきっていない
「換金性が低いのに時価総額で見積もられるのはおかしい」という疑問は、法律論としても議論されてきた。会社法の領域では、譲渡制限株式の売買価格決定について、最高裁が2023年に判断を示している。
最決令和5年5月24日は、DCF法で算定した譲渡制限株式の評価額から非流動性ディスカウントを行うことができると判示した。従来は、収益還元法には市場との比較要素が含まれないため非流動性ディスカウントを考慮すべきでないとされていた(最決平成27年3月26日)。この点を転換し、適用範囲を広げたものと解されている。ただし適用は「任意に譲渡される場合」に限定され、割引率にすでに流動性要素が含まれているときは、二重減価になるため重ねて適用できない。
上記はいずれも会社法上の株式買取請求・売買価格決定の判例であり、離婚の財産分与について非流動性ディスカウントの適用を確立したものではない。財産分与の場面で同じ扱いが通るかは、公表裁判例からは確認できなかった。実務家の解説も「内容によっては必ずしも禁じられないとの見解が有力」という慎重な書き方にとどまる。交渉材料として使える議論だが、当然に減額されると期待するのは危険である。
03割合 一人で作っても動かない2分の1
2026年4月1日に施行された改正民法768条3項は、実務で定着していた2分の1ルールを条文に書き込んだ。法務省の資料は、改正内容をこう要約している。
財産分与の請求期間を2年から5年に伸長、考慮要素を明確化(婚姻中の財産取得・維持に対する寄与の割合を原則2分の1ずつに)
— 法務省民事局「民法等の一部を改正する法律の概要」(令和7年12月)
新768条3項は、考慮要素として「婚姻中に取得し、又は維持した財産の額」「寄与の程度」「婚姻の期間」「婚姻中の生活水準」「協力及び扶助の状況」「年齢、心身の状況、職業及び収入」「その他一切の事情」を列挙する。そのうえで、寄与の程度が異なることが明らかでないときは相等しいものとする、と定めた。
修正が認められた実例と、そのハードル
| 裁判例 | 請求側の割合 | 対象財産と修正の理由 |
|---|---|---|
| 東京地判 平成15年9月26日 | 5% | 約220億円。共有財産の原資がほぼ夫の特有財産であり、妻の具体的寄与が認められないとされた |
| 東京高判 平成7年4月27日 | 36% | 夫の特有財産が財産形成に大きく貢献したことを斟酌した |
| 大阪高判 平成26年3月13日 | 40% | 約3億円。医師資格の獲得までの婚前の個人的努力と、婚姻後の資格活用・労力により高額収入を得たこと |
| 東京家審 平成6年5月31日 | 40% | 収入がほぼ等しい夫婦で、一方のみが家事育児を担当(家事を担わなかった側が40%) |
出典: 岩崎総合法律事務所「財産分与の割合は"常に50%"ではない」(2024年9月19日)。
並べると、修正の幅は5%から40%まで開いている。ただし220億円の事案が5%になったのは経営者だったからではなく、原資が特有財産だったからである。純粋に「経営能力」で割合が下がった事例は、大阪高裁の医師のケースが代表格で、それでも40%にとどまる。
前掲の研修資料は、修正の要件をこう限定している。「義務者に特別な資格や能力がある場合としては、医師、弁護士、スポーツ選手などが挙げられているが、経営者としての能力もこれに加えられる場合もある。ただし、格差が認められるのは、資格等がなくても可能な程度を相当超える財産形成をした場合であって、資格等がなくても可能の程度の財産では、2分の1ルールを適用することになろう」。
年利益2,000万円・純資産1億円台の会社は、この基準では「相当超えた」とは言いにくい。このレンジの経営者は、割合では守れないと考えるべきである。
一人で作った会社でも、原則は2分の1
「配偶者は会社に一切関わっていない。全部自分で作った」という主張は、経営者側から必ず出る。ところが実務は、そこを寄与割合の修正理由として扱っていない。
夫婦の財産形成の形態は、①共働き型、②専業主婦型、③家業従事型などに分けられるが、いずれも原則平等である。
3類型のどれであっても原則平等とされている。つまり「配偶者が会社を手伝ったかどうか」は、婚姻後に作った会社の分与割合を動かす事情になっていない。家事労働そのものが財産形成への寄与と評価されるからである。
割合が動くのは、前掲の「特別な資格や能力による格差」が認められる場合に限られる。そしてその基準は「資格等がなくても可能な程度を相当超える財産形成をした場合」だった。
| 会社の作られ方 | 分与の対象 | 割合の目安 |
|---|---|---|
| 婚姻前に設立し、婚姻後に増資なし | 原則対象外 | — |
| 婚姻前に設立し、婚姻後に共有財産で増資 | 増資部分 | 原則2分の1 |
| 婚姻後に設立。配偶者は経営に一切関与せず | 株式全体 | 原則2分の1 |
| 婚姻後に設立。配偶者も役員・従業員として関与 | 株式全体 | 原則2分の1 |
| 婚姻後に設立。資格等がなくても可能な程度を相当超える財産形成 | 株式全体 | 修正の余地(実例は40%〜5%) |
「一人で作った」は、割合を動かさない。動かすのは「一人でなければ作れなかった規模か」である。年利益2,000万円の会社では、後者に届かないと考えるのが安全側の読みになる。
04計算 分与額が決まるまでの9ステップ
ここまでを一本につなぐと、非上場株式の分与額は次の順序で決まる。
- 対象を確定する(基準時=別居時) — 別居時に保有していた株式が対象になる。別居後に取得した株式は入らない
- 評価の時点を決める(=離婚時、裁判なら裁判時) — 対象の確定と評価で基準時が分かれる。評価はその時点に近い決算の貸借対照表を使う
- 資産を時価に直す — 簿価のままではなく、含み益・含み損を反映する。東京地判平成22年12月27日は、借地権について路線価を0.8で除した額を基準に評価した
- 時価純資産を出す(時価総資産 − 総負債) — ここが金額の土台になる。内部留保が厚い会社ほど大きくなる
- 1株あたりの価格を出す(時価純資産 ÷ 発行済株式総数) — 株数で割るだけなので、発行済株式数が多くても総額は変わらない
- 本人の持分を出す(1株あたりの価格 × 保有株式数) — 100%保有なら時価純資産と同額になる
- 特有財産部分を差し引く — 婚姻前取得分、相続・贈与で得た分をここで控除する
- 寄与割合を掛ける(原則2分の1) — 修正されるのは例外的な場合に限られる
- 他の共有財産と合算し、誰が何を取るかを決める — 株式を経営者が保持するなら、差額を代償金で払う
冒頭の設例で計算すると、こうなる。
| 設例の会社で計算すると | 金額 |
|---|---|
| 時価純資産(10年分の内部留保) | 1億4,000万円 |
| 発行済株式総数 | 1,000株 |
| 1株あたりの価格 | 14万円 |
| 本人の保有株式数(100%) | 1,000株 |
| 株式の評価額 | 1億4,000万円 |
| 特有財産の控除(婚姻後設立のため) | 0円 |
| 他の共有財産(個人の預金) | 1,000万円 |
| 共有財産の総額 | 1億5,000万円 |
| 2分の1 | 7,500万円 |
| 配偶者が預金1,000万円を取得 | − 1,000万円 |
| 経営者が払う代償金 | 6,500万円 |
金額の大半は3〜4段階目、つまり時価純資産の中身で決まっている。何を資産に計上し、いくらで評価するかである。役員退職金の未計上分、回収不能な売掛金、含み損を抱えた資産。ここを詰めずに「割合を6:4にしてほしい」と主張しても、動く幅は小さい。
05支払 払えない人への裁判所の処方
民法768条3項は、家庭裁判所が定めるのは「分与の額及び方法」だと書いている。額と方法がセットで裁量に委ねられているところに、支払能力が入り込む余地がある。実務で使われる着地は3つある。
- 代償金方式 — 株は経営者が持ち、金銭で清算する。非上場株式で最も一般的な処理。経営権を守れる一方、現金が要る
- 他の財産を充てる — 自宅や預貯金を配偶者側に寄せ、その分だけ株式に手を付けない。令和6年司法統計では、分与の内容に不動産を含むものが8,258件中2,312件(28.0%)を占めた
- 分割払い — 一括では払えないことを前提に、複数年に分ける。実務解説も「役員報酬や配当を原資とした分割払い」を選択肢として挙げている
株そのものを渡す選択肢は、二重に重い
現物で株を渡す方法は、理屈としてはあり得る。ただし現実には2つの壁がある。
壁1は会社の承認である。非上場株式の多くは譲渡制限株式で、譲渡には株主総会または取締役会の承認が必要になる(会社法136条以下)。承認しなければ渡せず、承認すれば元配偶者が株主として残る。同族会社では経営権紛争の火種になる。VCから出資を受けているスタートアップでは、投資契約の譲渡禁止条項にも抵触し得る。
壁2は課税である。最高裁は、財産分与としての資産の譲渡について、分与者に譲渡所得課税が生じると判示している(最判昭和50年5月27日)。理由は、分与者が「分与義務の消滅という経済的利益」を得ているという構成にある。つまり現金がないから株で払ったのに、その株の含み益に対して現金で納税を求められる。最も詰みやすい経路がここにある。
経営権の維持と課税の両面から、非上場株式は「経営者が保持し、代償金と分割払いで清算する」形が実務の定石になっている。株を渡す解決は、承認・経営権・課税の3つを同時に処理できるときに限られる。
06破産 開いている逃げ道と、その代償
「全員破産するのでは」という問いには、制度上の答えがある。破産法253条1項は、免責されない債権を限定列挙している。
| 破産法253条1項の非免責債権(抜粋) | 離婚関連での扱い |
|---|---|
| 租税等の請求権 | — |
| 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権 | 離婚慰謝料は、悪意と評価されれば残る |
| 故意または重大な過失により人の生命・身体を害する不法行為の損害賠償請求権 | DV等が絡む場合は残り得る |
| 夫婦間の協力・扶助、婚姻費用の分担、子の監護、扶養の義務に係る請求権(4号) | 婚姻費用・養育費は残る |
| 雇用関係に基づく使用人の請求権および預り金返還請求権 | — |
| 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権 | — |
| 罰金等の請求権 | — |
この列挙に、清算的財産分与は入っていない。4号が対象とするのは、扶助・婚姻費用・子の監護・扶養であって、婚姻中に築いた財産の清算ではない。したがって清算的財産分与の債務は、他の破産債権と同様に免責の対象になる、というのが実務の一般的な理解である。
破産すれば、保有する自社株は破産財団に組み込まれ、破産管財人が換価する。同族会社の非上場株は第三者への売却が困難なため、実際には本人や関係者が買い戻す形になることが多い。買い戻す資金がなければ、支配権を失う。
加えて、養育費と婚姻費用は残る。会社の代表者が破産すれば、金融機関の取引・与信にも影響が及ぶ。債務からは逃げられるが、逃げた先に会社はない。
逆向きのリスク
「離婚の前に株を配偶者以外に移しておけばよいのでは」という発想は、詐害行為取消権の問題に直行する。もっとも、この法理は経営者側にとって守りにも働く。判例上、財産分与が詐害行為として取り消されるには、768条3項の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託した財産処分と認めるに足りる特段の事情が必要とされる。取り消されるのも過大な部分に限られる。
裏を返せば、共有財産の2分の1の範囲に収まる財産分与は「不相当に多額」とは評価されにくい。2分の1ルールは、経営者を縛るルールであると同時に、債権者からの攻撃を防ぐ安全域でもある。
07協議離婚 裁判所を通らない87.5%
ここまでの制度論は、すべて家庭裁判所での処理を前提にしている。ところが実際の分布はこうなっている。
| 離婚の種類(2024年) | 件数(構成比) | 裁判所の関与 |
|---|---|---|
| 協議離婚 | 162,682組(87.5%) | 悪い(関与なし) |
| 調停離婚 | 14,260組(7.7%) | あり |
| 審判離婚 | 4,626組(2.5%) | あり |
| 和解離婚 | 2,378組(1.3%) | あり |
| 裁判離婚 | 1,948組(1.0%) | あり |
| 合計 | 185,904組 | — |
出典: 厚生労働省 人口動態統計(2024年確定数)。
協議離婚で交わした財産分与の合意は、当事者間の契約として効力を持つ。あとから「評価方式が違った」「相場より高かった」という理由だけで無効を主張するのは、原則として通らない。1.5億円の半分という数字が現実になるとしたら、それは判決文ではなく、経営者本人が署名した協議書の上である。
裁判所に行った場合、8割が1,000万円以下で決着している
参考として、調停が成立した事案での財産分与額を見ておく。母数は令和6年に「離婚」の調停成立または調停に代わる審判で終局した23,966件で、そのうち財産分与の取決めがあったのは8,258件(34.5%)だった。調停まで行った離婚でも、3件に2件は財産分与の取決めそのものがない。
| 財産分与の額 | 件数 | 金額確定分に占める比率 |
|---|---|---|
| 100万円以下 | 1,558 | 23.4% |
| 200万円以下 | 921 | 13.9% |
| 400万円以下 | 1,056 | 15.9% |
| 600万円以下 | 707 | 10.6% |
| 1,000万円以下 | 989 | 14.9% |
| 2,000万円以下 | 910 | 13.7% |
| 2,000万円を超える | 507 | 7.6% |
| 総額が決まらず算定不能 | 1,610 | (母数から除外) |
出典: 最高裁判所「令和6年司法統計年報 3 家事編」第27表。比率は算定不能1,610件を除いた6,648件を母数として計算した。
1,000万円以下が78.7%を占める。2,000万円を超えるのは全国で年間507件しかない。ただしこれは調停の数字であり、協議離婚での合意額は統計に載らない。「レアケースだから安心」とは読めないデータである点に注意が要る。
2026年4月からの変更点
- 請求期間が2年から5年に伸びた — 2026年4月1日以後に離婚した場合に適用。それ以前の離婚は従来どおり2年
- 寄与割合の2分の1が明文化された — 異なることが明らかでないときは相等しいものとする、と条文に書かれた
- 情報開示命令が新設された — 家事事件手続法152条の2・人事訴訟法34条の3。財産分与の審判事件で財産状況の開示を命じられ、正当な理由なく開示しないか虚偽の開示をすると10万円以下の過料
情報開示命令は、02章で見た「資料が出ないから評価不能」という着地を減らす方向に働く。ただし制裁は10万円以下の過料にとどまり、実務家からは「10万円を払ってでも隠す相手には強制力として足りない」という指摘も出ている。効き目は運用が始まってからの実績を見ないと分からない。
08設計ミス 役員報酬20万円という選択のコスト
冒頭に置いた設例 — 年利益2,000万円、役員報酬月20万円、個人の貯金1,000万円 — は、節税としては合理的である。法人の実効税率はおよそ30%で、役員報酬2,000万円を個人で受け取ったときの所得税・住民税・社会保険料の負担より軽い。手残りの総額で見れば、会社に貯めるほうが有利になる。
ところが離婚の局面では、この設計が真逆に働く。10年間の試算で比べる。
| 10年後の姿(試算) | A案 会社に貯める | B案 報酬で出す |
|---|---|---|
| 役員報酬 | 月20万円 | 年2,000万円 |
| 法人の税引後利益(年) | 約1,400万円 | 0円 |
| 個人の手取り(年) | 240万円 | 約1,250万円 |
| 10年後の会社の純資産 | 約1億4,000万円 | 0円 |
| 10年後の個人の金融資産 | 1,000万円 | 約6,500万円 |
| 分与対象の総額 | 約1億5,000万円 | 約6,500万円 |
| 2分の1の分与額 | 約7,500万円 | 約3,250万円 |
| 支払に充てられる現金 | 1,000万円 | 約6,500万円 |
| 払えるか | 悪い(6,500万円が不足) | 良い(払える) |
試算の前提: 法人実効税率は中小法人の軽減税率(所得800万円以下)を織り込んだ加重平均でおよそ30%。個人側は年収2,000万円のとき所得税・住民税・社会保険料の本人負担が合計約736万円(36.8%)となる概算を用いた。A案の役員報酬240万円は全額生活費に充当され、不足分は配偶者の収入等で賄われたものとした。生活費は両案とも年600万円で共通。株式評価は時価純資産法により純資産と同額とみなし、婚姻期間中に全額が形成されたものとして単純化した推定計算である。
読み違えてはいけないのは、A案が「損」なのではないという点だ。A案の総資産1億5,000万円から7,500万円を払っても7,500万円が残り、B案の残り3,250万円より多い。節税は正しく効いている。
問題は一点だけである。分与で詰むのは資産の多寡ではなく、流動性のミスマッチだ。払う日に現金がないという、それだけの理由で、経営者は株を売るか、会社から借りるか、破産するかの選択を迫られる。言い方を変えれば、内部留保は開かない金庫に貯まっている。時価は付くし、離婚のときには中身に値札まで付く。それでも支払期日に鍵は開かない。
低い役員報酬は、婚姻費用・養育費でも通らない
さらに悪いことに、役員報酬20万円という数字は、婚姻費用や養育費の算定でも額面どおりには扱われない。収入の額を自分で決められる立場にある者が、合理的な理由なく低く設定している場合、裁判所は実態に合わせて収入を擬制する。
別居直前に役員報酬が減額となった事例において、当該義務者が現実に支出している住宅ローンや教育費からみて、当該会社発行の源泉徴収票が収入の実態を反映していないとし、養育費の前提となる収入として減額前の同居中の収入を採用した(大阪高決平成21年11月13日)。
つまり両方で負ける構造になっている。財産分与では「会社に価値が貯まっているから対象は大きい」と評価され、婚姻費用・養育費では「報酬が低いのは実態ではない」と擬制される。低い役員報酬は、離婚の場面ではどちらにも効かない。
婚前契約は結婚前の一度きりしか打てず、しかも婚姻後は変更できない。対して役員報酬は毎年決め直せる。同じ利益を個人に流しておけば、分与対象は現金になり、渡す原資もそこにある。会社に貯めると、対象だけが膨らんで原資は増えない。
もちろん税負担は増える。だからこれは「報酬を上げろ」という提言ではなく、節税と離婚耐性はトレードオフの関係にあり、いま自分がどこに置かれているかを認識すべきだという提言である。内部留保が厚くなるほど、離婚時の流動性リスクは上がる。
09婚前契約 効く範囲と、年23件という数字
| 条文 | 内容 | 経営者にとっての制約 |
|---|---|---|
| 民法755条 | 婚姻の届出前に別段の契約をしなかったときは法定財産制による | 入籍後は締結できない。すでに結婚している経営者には使えない |
| 民法756条 | 婚姻の届出までに登記しなければ、承継人・第三者に対抗できない | 登記は婚姻届の提出までに済ませる必要がある |
| 民法758条1項 | 夫婦の財産関係は、婚姻の届出後は変更できない | 会社の形が変わっても直せない。20年先を見て書く必要がある |
日本での実利用を数字で見ると、夫婦財産契約の登記は2023年で23件だった。2022年39件、2021年21件、2020年23件で、過去10年の最多は2022年の39件にとどまる。同年の婚姻件数は474,741組なので、登記の比率は0.005%、約2万組に1組にあたる。参考までに、米国では45歳未満の婚約・既婚者の53%が婚前契約に署名したという調査がある(Bloomberg委託のHarris Poll、2026年5月、n=2,148、報道ベース)。ただし米国には登記制度がなく、直接の比較はできない。
登記されるのは、法定財産制と異なる夫婦財産契約だけである。日本の実務で「婚前契約書」と呼ばれているものの多くは登記されない私文書で、その数は統計に現れない。したがって23件は「登記まで行った件数」であって、婚前契約の総数ではない。
とはいえ、登記が年20〜40件で10年間ほぼ横ばいという事実は、登記型の夫婦財産契約が実務に根づいていないことを示している。第三者対抗力を要する場面が限られていることの反映と見るのが自然である。
財産分与請求権そのものを消せるのか
ここが「必須か」の答えを決める。整理すると次のようになる。
効くのは、対象財産の範囲を確定させる力である。特有財産には「夫婦の合意により特有財産とした専用財産」という類型があり、婚前契約はここに接続する。「特有財産と主張する者が立証する」という実務のルールを、20年前の通帳を探す代わりに契約書1枚で満たせる。婚姻中の収入や取得財産の帰属を定めておけば、対象財産そのものを絞れる。別居時に「どれが対象か」で揉める時間と弁護士費用も減る。実務的にはこの効果が最も大きい。
効かないのは、請求権を丸ごと消す力である。民法768条1項の財産分与請求権を、婚前に一方的に剥奪することはできないと解されている。相手方の同意があれば放棄の合意は可能とされるが、著しく不公平な内容は公序良俗違反で無効となり得る。清算的財産分与は「実質的共有の清算」であり、婚姻中の財産帰属を定める夫婦財産契約とは制度の位置づけが異なる。契約で書けば必ず排除できる、とは言えない。
それでも婚前契約を勧める場面
費用は数万円から数十万円、効果は「立証責任を先回りで満たす」という確実な一点に絞られる。必須ではない。ただし次に当たる人は打っておいたほうがいい。
- 婚姻後に会社を設立する予定がある — 婚姻前設立という最強の防御が使えない人。この場合、婚前契約が唯一の先手になる
- 婚姻前設立だが、婚姻後の増資や株式の追加取得を予定している — 争点は設立日ではなく増資部分に移る。範囲を先に決めておく価値がある
- 親から株を承継する予定がある — 相続・贈与は原則特有財産だが、納税原資を夫婦の共有財産から出すと、その部分が対象になり得る。納税資金の出所まで書いておく
- 再婚で、前婚の経験から具体的な懸念がある — 争点が明確なぶん、契約の設計精度が上がる
10打ち手 優先順位と、本調査の限界
- 婚姻前に株を取得しておく(婚姻前のみ・効き目は最大) — 婚姻前から有していた財産は特有財産。増価分も原則として対象外になる。費用ゼロで最も強い
- 役員報酬を適正化し、個人に流動資産を作る(毎年・効き目は大) — 内部留保を厚くするほど分与対象が膨らみ、支払原資は増えない。税負担とのトレードオフを認識したうえで水準を決める
- 会社と個人の資金の分離を帳簿で明確にする(いつでも・効き目は大) — 役員貸付金・役員借入金・未払報酬・退職金原資・個人保証を洗い出し、株式評価とは別立てで整理する。法人格否認を持ち出されないためにも、公私混同の痕跡を消す
- 婚前契約(夫婦財産契約)(婚姻届出前のみ・効き目は中) — 自社株を専用財産として合意し、特有財産の範囲を先に確定させる。請求権そのものを消す力は期待しない
- 種類株式・持株会社で経営権を切り離す(いつでも・効き目は中) — 無議決権株式を配偶者側に寄せれば、株が移っても経営権は守れる。ただし経済的価値は移るので分与額は下がらない。守れるのは会社であって金額ではない
- 代償金の原資を用意する(いつでも・効き目は中) — 個人の生命保険、法人からの役員退職金、金融機関の与信枠。分割払いになった場合の返済原資も含めて逆算する
すでに結婚している経営者が、今週できること
- 直近3期の貸借対照表を開き、純資産の額を確認する — その数字が時価純資産法での株式評価の出発点になる。同時に個人の金融資産の額を並べる。純資産の2分の1が個人の金融資産を大きく超えていれば、それが流動性ギャップの実額である
- 株式の取得時期と原資を裏づける資料を集める — 設立時の定款、登記事項証明書、出資金の払込みが分かる通帳の写し、株主名簿。通帳は10年で取り寄せられなくなるので、いま複写する
- 役員報酬の水準を、税負担だけでなく流動性の観点で見直す — 今期の報酬改定のタイミングで、「会社に貯める額」と「個人に残す額」の配分を意識的に決める
- 会社と個人の貸借を洗い、公私混同を解消する — 役員貸付金、法人名義の私用資産、個人保証の一覧を作る
- 離婚の話が現実になったら、署名の前に必ず弁護士に見せる — 協議離婚が87.5%を占め、そこで交わした合意は原則として覆らない。この記事で最も費用対効果が高い一行はこれである
反証として扱うべきデータ
「1.5億円の請求書は来ない」という本稿の基調に対して、不利なファクトを挙げておく。
- 高額の分与は現実に認められている。大阪高判平成26年3月13日は、対象財産約3億円の事案で妻に40%を認めた。金額にすれば約1.2億円になる。医療法人の出資持分について時価純資産法を採用した事例で、非上場の同族的な事業体でも億単位の分与は成立している
- 純資産方式なら安いとは限らない。むしろ役員報酬を抑えて内部留保を積んだ会社ほど、純資産方式で高く出る。換金性の低い資産が過大に評価されるのではという懸念は、評価方式を争っても解消しない。この点で冒頭の疑問は半分当たっている。当たっていないのは「だから破産する」という帰結のほうである
- 司法統計は協議離婚を含まない。2,000万円超が年間507件という数字は調停・審判のものであり、協議で決まった額は統計に現れない。母数の87.5%が抜け落ちている以上、「レアケースだから安心」とは読めない
弁護士に確認したい2点
- 婚前契約で清算的財産分与をどこまで排除できるか。夫婦財産契約は婚姻中の財産帰属を定める制度で、離婚時の清算とは位置づけが異なる。「自社株は特有財産とする」という条項が、768条の分与対象からの除外として機能するのか。公序良俗による無効の線はどこか。本調査では正面から判断した公表裁判例を見つけられなかった
- 財産分与の場面で非流動性ディスカウントは主張できるか。最決令和5年5月24日は会社法上の売買価格決定の判断であり、家事事件への射程は確認できていない
本調査で扱っていない論点
- 配偶者が役員・従業員として実際に会社に関与していた場合の、寄与度の個別評価
- 複数法人を保有している場合の評価と、グループ間の資金移動が詐害行為と評価される線
- 離婚に伴う個人保証・連帯保証の処理。経営者保証ガイドラインとの接続
- 外国籍配偶者・海外資産が絡む場合の準拠法
主な出典 — 民法768条・762条2項・755条・756条・758条/破産法253条1項/会社法136条以下/所得税法33条/最判昭和50年5月27日/最決令和5年5月24日/最決平成27年3月26日/法務省民事局「民法等の一部を改正する法律の概要」(令和7年12月)/最高裁判所「令和6年司法統計年報 3 家事編」第27表・第28表/法務省 登記統計「第66表 種類別 夫婦財産契約の登記の件数」/厚生労働省 人口動態統計(2024年確定数)/日弁連法務研究財団 研修資料「清算的財産分与の意味・対象財産と分与基準」(2021年3月・松本哲泓弁護士)/プルータス・コンサルティング「非流動性ディスカウントに関する新たな最高裁判例の考察」/岩崎総合法律事務所/小西法律事務所/丸の内ソレイユ法律事務所/第二東京弁護士会「非上場会社の株価算定の実務」
本稿は条文・判例・公的統計・実務家の解説をもとに構造を整理したものです。個別事案への法的助言ではありません。実際の判断は事実関係によって大きく変わるため、行動に移す前に弁護士・税理士への相談を前提としてください。金額の試算はいずれも構造を示すための概算であり、実際の評価額・分与額を示すものではありません。